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転居

昨日、友人の引っ越しを手伝った。この人物の家移りには過去2度手を貸しているので、これで3度目となる。はじめに5階にのぼり、次いで2階にくだり。ふたたび5階へとのぼった。こちらはこちらで1度手伝ってもらったことがあるのであまり強くは言えないが、転住のたびにあてにされるのは正直なところ迷惑だ。なので業者に頼めと再三告げたが、余計な金がかかると否まれ続けて当日へと至った。頭にきたので、お前は犬畜生か。いったいわたしを何だと思っているのだ。お前は犬畜生か。などと罵声をあびせたがまるで堪えない。こいつは思いのほか頑丈な男で、そのことは、俺はもう駄目だ、俺はもう死ぬ、と日常的に嘆きながら死なないでいる点でも判断できる。ちなみにこれは彼が数日前に魔女の一撃を食らったことを加味した上での判断でもある。おかげで作業中、たびたび発する悲鳴とも喘ぎともつかぬ奇声に精神を蝕まれることとなったが、人足としての機能自体は果たしていたので幻聴扱いとした。しかし、毎度毎度、荷の搬出元、搬入先である建築物のどこをどう探してもエレベーターが見つからないのは不可解である。ひょっとすると、あの男に何かを判断させるのは大変な間違いなのではないか。よって次の住処はわたしの決定に従ってもらう。河川敷に行け。